あるバンドの記憶

Kさんは、いかにもロックミュージシャン、といった雰囲気を漂わせていた。耳が隠れる程度の髪の長さ。黒っぽい服装。低くハスキー気味で、よく響く声、細い足。人を威嚇するような鋭いまなざしの、細身の人であった。
 Hさんは、身長2メーターは絶対あるだろうというような、背の高さが印象的な、これまた、細いからだのひとであった、もっともこれは、そのときの印象であって、あとでそんなに身長があるわけではないことはすぐにわかったのだが、そのときの感覚としては、そんなにも大きく見えたのだ。そんなにも存在感が大きかったのだ。
 そのとき作っていた曲は、次の日になって、ちゃんと聴くことができた。