あるバンドの記憶

 いつものように、ホームにしている録音スタジオに私は入った。そう、その当時、そこが私のすべてだった。数多くのミュージシャン、プロの作曲家、インディーズバンドなど、さまざまな人たちがそこは訪れた場所だった。舞台演出家、タレントマンネージャー、など、もちろんレコード会社の人たちなどもそこには出入りしていた。
 その日見たのは、とあるバンド、いや、そのバンドのうちの二人が、ああでもないこうでもないと、話し合いながら、ある曲を録音しているところだった。その曲はほぼ完成に近かったのだが、その二人がミキシングルームから出てきて、盛んに意見を言い合っているところだった。
 後で考えると、その二人と、初めて会ったのはこのときだ。Hさんと、Kさんであった。
 後に、カリスマと呼ばれる二人と出会ったのは、そんな何気ない瞬間だった。
 と記憶している。