レコーディングスタジオにて 続き
しばし呆然としていた新人君。やっとのことで何がおきたのか、把握するも、どうしようもなく、取り返しがつかないことに気づく。彼は冷静に、マスターテープを手で巻き、所定の箱にいれ、新しい方のテープも元に戻した。オープンリールデッキが、故障していないことを2回確かめると、そそくさと自分の私物を整理し始めた。
新人君とうに首は覚悟していた。が、賠償請求とかになったらどうしようかとそのことばかり考えていた。彼はあたりを掃除すると、事務所の机に、頭を抱えて突っ伏していた。
このまま逃げるのも良いが、チーフには話しておかなくちゃ、と思ったからである。
数時間後、その姿をチーフは見つけたが、なぜかさらに新人君、数時間そのままにされていた。
えっとおちはですね・・・
チーフが、マスターテープだといって渡したものは、磁気テープではなく、 手動式タイプライターの印字用 インクリボンを巻きつけた物だったそうだ。